キャリアの始まりと、心に芽生えた「社会貢献」の思い
私のキャリアの始まりは、IT企業の営業職でした。お客様に真摯に向き合い、ビジネスパーソンとしての基礎を築いたこの時期は、いまでも宝物です。
「誰かの暮らしや仕事を豊かにしたい」という思いからIT業界を選びましたが、事業規模が大きすぎて実感が湧かないことに、少しのモヤモヤがありました。そんな頃、社会が大きく揺れ動く出来事を経験し、「もっと身近なところで世の中を良くしたい」という思いが大きくなりました。そこで、社会貢献とビジネスを両立できるソーシャルビジネスの会社へ転職を決めました。
人生の転機。発病とその後の働き方
その後結婚し、子どもを出産しました。しかし、半年間の育休から復職して間もない頃、私は自宅で倒れて救急搬送されました。一命はとりとめましたが、20分ほど心停止していたそうです。突発性心室細動と診断され、それから10年経った今も、突然心臓が止まるリスクを抱えながら生きています。
自分の病気について悲観的になることはありませんでした。起きた事実は変えられません。それならば「『今の自分』でどう生きていけるだろう?」と、手術を終えてすぐの病室で考えて始めていたことを覚えています。医師の許可もでたので、比較的早期に仕事に復帰しました。幸運なことに職場に恵まれ、闘病と子育てをしながら、発病以前と変わらない働き方に戻っていくことができました。
ただ、心のどこかでは、病気を抱えているしんどさを感じていました。通院の負担や体調のつらさ、そしてその気持ちを誰にも話せない孤独が、苦しかったのです。仕事は頑張りたい、成果を出したい、キャリアも築いていきたい。強く願う反面、体調のゆらぎや、両立の悩みをうまく周囲に伝えられないことへの葛藤は、今でも続いています。
つらい経験だって、生かすことができる
現在は、転職を経て人事の仕事をしています。どんな会社もそうだと思いますが、社員は一人ひとり、バックグラウンドが異なります。病気や障害、子育て、介護と仕事を両立しようとしている人も大勢います。
一人ひとり異なる社員が、それぞれの生活と両立しながら能力を最大限に発揮できる会社になるように。そう願いながら人事制度の企画・運用や研修に取り組んでいますが、仕事の様々な場面で自分の経験が生かされていることを実感しています。
人事として様々な声に触れ、研修を通して個人の葛藤や「もやもや」を聞く機会が増える中で、私と同じような経験や、種類の近しい悩みを持つ人が多いことに気づきました。似ているようで少しずつ違うからこそ、他者と分かち合えず、孤独を抱えている。そういう人たちにこそ、「安心して本音を語れる場所」を提供したい。そう強く思い、専門的な支援ができるようキャリアコンサルタントの資格を取得しました。
日々、仕事と病気や子育ての両立に向き合い、心に様々な感情を抱えながらも前向きに進もうとしている全ての人が、本来の自信と前向きな力を取り戻し、理想のキャリアを描く勇気を持っていただけるよう、伴走するキャリアコンサルティングを目指しています。
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